FACT OF SALES -データで見る営業の真実- 前編



「売れる営業とは何なのか?」

それは、お客様が求めている「わかってくれる営業」です。営業を続けているとお客様の要望を汲み取れなかったり、求めているものが掴めなかったりすることもあるでしょう。成果を求めすぎるあまり、お客様自身を蔑ろにしてしまい、苦戦している方も多いはず。

一筋縄ではいかない営業の成果を上げるためには、お客様に「わかってくれる」営業だと感じさせることが重要だと、ビジネスコンサルタントとして活躍されている高橋浩一さんは話します。

本セミナーでは、データとロジックで“営業の真実”を追求し続けているTORiX株式会社 代表取締役の高橋浩一さんを迎え、データから紐解く売れる営業の秘訣を伺いました。

■イベント実施日
2022年8月2日(火)

■スピーカー
TORiX株式会社 代表取締役
​​​​​​​高橋浩一 氏

外資系戦略コンサルティング会社を経て25歳で起業、アルー株式会社に創業参画。2011年にTORiX株式会社を設立。2019年『無敗営業「3つの質問」と「4つの力」』、2020年に続編となる『無敗営業 チーム戦略』(ともに日経BP)を出版 、シリーズ累計7万部突破。2021年『なぜか声がかかる人の習慣』(日本経済新聞出版)『気持ちよく人を動かす』(クロスメディア・パブリッシング)、2022年『質問しだいで仕事がうまくいくって本当ですか? 無敗営業マンの「瞬間」問題解決法』(KADOKAWA)を出版。

株式会社ナレッジワーク CEO
麻野 耕司

2003年、慶應義塾大学法学部卒業。株式会社リンクアンドモチベーション入社。2016年、国内初の組織改善クラウド「モチベーションクラウド」立ち上げ。2018年、同社取締役に着任。
2020年4月、株式会社ナレッジワークを創業。著書:『NEW SALES』(ダイヤモンド社)、『THE TEAM』 (幻冬舎)、『すべての組織は変えられる』(PHP研究所)

目次[非表示]

  1. 1.お客様が求めるのは「わかってくれる」営業
  2. 2.営業で成果を上げる3つのキーアクション
  3. 3.「テスト」をヒアリングとレスポンスで突破
    1. 3.1.クイックレスポンスでお客様との関係性を構築
      1. 3.1.1.お客様が求めるレスポンススピード
    2. 3.2.売り込み感を出さず「一定レベルの営業だ」と感じさせる事
    3. 3.3.真のニーズと予算額を引き出す質問力
      1. 3.3.1.真のニーズを引き出す質問

お客様が求めるのは「わかってくれる」営業

ナレッジワーク 麻野:ナレッジワークは2020年に創業しまして、2022年4月に営業力強化のための営業資料やノウハウをお届けする「セールスイネーブルメントクラウド」をリリースしました。

本日は営業のコンサルティングを提供されている高橋さんをお迎えして、“データで見る営業の真実”をテーマにお話をお伺いしていければと思います。

TORiX 高橋氏:ありがとうございます。本日はデータを交えながら、麻野さんと一緒にお話させていただければと思います。改めましてよろしくお願いいたします。

今回のテーマは「データで見る営業の真実」ということですが、事の発端は『無敗営業』を執筆した際、「お客様が最高だと感じるのはどんな営業でしょうか?」と当時300人にお聞きしたところ、トップに躍り出たのが「わかってくれる営業」でした。

図を見ていただけるとわかりますが、1位以外の項目も魅力的なものが結構多いですよね。その中でも30%を超えている「わかってくれる営業」はかなり重要なものではないかと思います。

営業で成果を上げる3つのキーアクション

TORiX 高橋氏:ここからは、「わかってくれる営業」が具体的にどういうものなのか説明していきたいと思います。お客様に「わかってくれる営業」だと思ってもらい、営業で成果を上げるためには3つのキーアクションが必要です。

  1. 「テスト」をヒアリングとレスポンスで突破する
  2. 「ラリー」で価値を伝える
  3. 見積前の「要件整理」で壁を超える

※2は中編、3は後編にて解説いたします

「テスト」をヒアリングとレスポンスで突破

TORiX 高橋氏:まず1つ目は『「テスト」をヒアリングとレスポンスで突破する』です。

【お客様の「テスト」を突破するポイント】
クイックレスポンスでお客様との関係性を構築
売り込み感をださず「一定レベルの営業だ」と感じさせる事
真のニーズと予算額を引き出す質問力

クイックレスポンスでお客様との関係性を構築

TORiX 高橋氏:2022年の2〜3月にかけて法人営業に従事している1万人の方々へ調査を行ったところ、営業ができる人は“クイックレスポンス”ができていることが顕著に現れました。

お客様側にも調査を行いましたが、対面に次いでクイックレスポンスは営業との関係構築に大きく影響することがわかり、かなり重要だと感じました。

お客様が求めるレスポンススピード

TORiX 高橋氏:では、お客様にとってどのくらいのレスポンスが望ましいのか気になったので尋ねてみたところ、最初の返事が返ってくるまでの時間が“1時間未満”と答えたお客様が、なんと20%を超えています。

データから7割のお客様が1日以内に返事を求めていることは予想できましたが、営業に関わる方にぜひ注目してほしいのは、もう1つの「こちらの疑問や課題が解決完了するまでの時間」です。

7割のお客様が解決するまでに求めているラインは「2日」がリミットでした。私自身、このラインは営業側にとってなかなかに厳しいハードルだなと思いました。さらに、ヒアリングから最初の提案が「5営業日以内」に欲しいと回答したお客様が80%以上です。

結構厳しいとは思いますが、これをお客様の“期待値”として知っておくことが大事だと思います。

売り込み感を出さず「一定レベルの営業だ」と感じさせる事

TORiX 高橋氏:当社ではさまざまな企業で営業の方々の研修をさせていただいていますが、その中でお伺いして驚いたのですが、とある企業様の購買責任者は「初めて会う営業にはテストをするんです。全ての営業には情報が開示できないので……」と仰っていたんです。

お客様がなぜ「テスト」をするのか疑問を持たれると思いますが、それは営業の方が悩んでいる部分にも繋がるんです。どういうことか。

実際に、営業の方へ「現状なかなかお客様から聞き出せない項目は何ですか?」と尋ねたところ、「真のニーズ」と「予算額」だと回答された方が多くいらっしゃいました。

一方、お客様に「真のニーズや課題をはぐらかす理由は何ですか?」と尋ねたところ、「売り込まれるのを避けたい」「営業担当者のお手並みを拝見したい」という回答が多い結果になりました。

ナレッジワーク 麻野:なるほど。これが先程の話で言う「テスト」なんですね。

TORiX 高橋氏:はい。要するに、“一定のレベルの営業だ”と感じてもらうことが結構大事だなと。お客様にヒアリングをする際、私が強くお伝えしたいのは「この営業は結構ちゃんとしたレベルの営業なんだな」と伝わるようなヒアリングの仕方をすることが大事だということです。

真のニーズと予算額を引き出す質問力

TORiX 高橋氏:営業マネージャーの方がメンバーに「お客様の予算はいくらなの?」と聞いたときに、「聞けていません」「聞いたけど予算は決まっていないと言われた」と返ってくることって多いと思うんです。これは、目標が未達成者の方に聞き出せない回答例が多いんです。

TORiX 高橋氏:そこでお客さんに「なぜ教えてくれないのか」、真のニーズをはぐらかす理由を聞いてみました。すると、「強引な売り込みを避けたい」というのが25.9%でしたが、次に多いのが「お手並みを拝見したい」というものだったんです。

これは、さきほどの「テストしたい」に通じますよね。つまり、一定のレベルの営業であると感じてもらうことが大事です。「この営業はちゃんとしたレベルの営業だ」と伝わるようなヒアリングの仕方をすることが重要と言えます。

今度は予算についてです。営業の方は経験があると思いますが、「結果として買わない」という商談がありますよね。これは、予算を聞けなかったがためにサプライズ見積りになってしまったことが案件ロストのもっとも大きな要因になっています。

この理由は、「なんとなく警戒している」「あたりさわりのない答え方をしたらつっこまれなかった」からとなっています。意外と、営業の方が思っているよりも大したことのない理由なんですよね。

トレーニングさえすれば突破できる、つまり「テストを突破しましょう」ということなんですね。

お客様からすると、まずは「まともな人物か」ということが重要ですが、ここはすでに皆さん気をつけられています。しかし、それ以外は焦点が当たっていない。

たとえば、ヒアリングができているかどうか。テンプレをそのまま読む人がいますが、そうなるとお客様からは簡潔に説明することを要求され、テンプレをテンプレで返すような形になることもあります。

真のニーズを引き出す質問

TORiX 高橋氏:購買者の仮面を外してもらうには、基本的なヒアリングの技術が必要です。

多くの営業はまず課題や悩みを聞きがちですが、むしろ「御社のことを調べさせていただいたところ、あまり困っていないように見えるのですが…」と切り出すんですよ。

さらに、「御社であれば他社からもお話しいただいているんじゃないですか」「御社であればすでに課題解決に向けて手を打っているのではないですか」と問うことで、「なぜお客様が今この場に時間を割いてくれているのか」を聞き出します。

ただし、いきなり開口一番に聞くのは挑発的に捉えられかねないので、「お忙しいと思いますので、1つだけよろしいでしょうか」というように枕詞をつけましょう。

レスポンスを突破すると、今度は営業の方から「お客様の要望を聞いても応えられないときはどうすればよいですか?」という質問を頂きます。テストで躓いてしまう方は、正直に回答してしまうんですね。間違っていませんが、これではお客様の満足度は上がりません。

では、ハイパフォーマーはどう答えるのでしょうか。要望を深堀するために、まず背景を聞き出すんですね。すると、意図を確認したうえで最適な提案ができるのです。

※編集部注:中編後編に続きます。


ナレッジワーク 編集部
ナレッジワーク 編集部
セールスイネーブルメントや営業DX、営業生産性の向上に関するコンテンツを発信しています。弊社のナレッジやイベントレポートを通して、日本の営業組織変革のお役立ちできる情報をお届けします。

最新記事

ナレッジワークの圧倒的な
ユーザビリティを体験

ナレッジワークが詳しく分かる3点セット

タグで探す


人気の記事


ナレッジワークが詳しく分かる3点セット
営業力強化のスターターキット