リブ・コンサルティング流営業変革 - データ活用による営業成果を出す秘訣とは - 前編


現在、日本企業の営業生産性は国際水準と比べて低い水準にあります。

日本の営業組織における課題として、属人的な営業活動や非効率な商談準備、勘や経験に基づく戦略マネジメントなどが上げられます。そのため、営業組織における営業DXやデータ活用の重要性が高まっています。

本セミナーでは、株式会社リブ・コンサルティング ディレクター 村越氏をお招きし、大手企業や成長企業をはじめとした数多くの営業変革の事例から、営業DXやデータ活用による営業成果の創出における秘訣を伺いました。

■イベント実施日
2023年3月28日(火)

■スピーカー
株式会社リブ・コンサルティング
コンサルティング事業本部 CXグループ ディレクター
村越 潤 氏

大手経営コンサルティング会社のマネージャーとして様々な業界の支援に従事した後、リブ・コンサルティングに参画。多くの企業の営業変革とトップライン向上を実現し、弊社マーケティング・セールスコンサルティング部門の責任者を歴任。その後、企業変革コンサルティング部門の責任者に就任。

株式会社ナレッジワーク
ビジネスユニット フィールドセールス
桐原 理有

2004年、株式会社ワークスアプリケーションズ入社。大手法人営業に 14年間従事。売上合計金額・顧客単価は、当時の同社史上最高を記録。2022年、スタートアップ 2社にて執行役員を務めた後、 株式会社ナレッジワーク入社。フィールドセールスに従事。

目次[非表示]

  1. 1.営業DXで成果を出すために必要なこと
    1. 1.1.営業DXが成果につながりにくい理由
    2. 1.2.営業DXで成果を出すには2つのモデルチェンジが必要
  2. 2.営業変革・DXの成功事例
  3. 3.営業変革・DXの成功に向けたポイント
    1. 3.1.市場ステージ別に求められる営業モデルごとに重要なスキルを明確化
    2. 3.2.顧客心理と関係性を可視化
    3. 3.3.自走に向けた伴走
  4. 4.営業変革・DXにナレッジワーク


営業DXで成果を出すために必要なこと

ナレッジワーク 桐原:本日はセールスコンサルティングの経験が豊富な、株式会社リブ・コンサルティングの村越さんにお越しいただきました。

「リブ・コンサルティング流営業変革 - データ活用による営業成果を出す秘訣とは -」というテーマで、いかに営業をDXするかということについてお話いただきます。それではよろしくお願いいたします。

村越 潤 氏:ありがとうございます。今回は営業データを活用していかに営業を変革して成果を出すか、ということについてお話させていただければと思います。

そもそもなぜ私から営業変革についてお話させていただくのか、ということについて説明させてください。

私は現在リブ・コンサルティングという会社で企業変革コンサルティング部門の責任者をしております。リブ・コンサルティングという会社では大手上場企業から地域有料企業まで様々な業種・規模の企業における営業変革とトップライン向上に取り組んでまいりました。

リブの特徴としては3つあります。年間300件以上にのぼるマーケティング・セールス系の支援、多数のベストセラー発刊、自社で人材・組織開発に注力しショーケース化、これらによって豊富な知見を蓄積し、様々な企業の営業変革を実現しております。

今回はそれらの知見をベースにして、成果の出る営業DXについて皆様にお伝えさせていただければと思っております。

それでは、まずそもそもの説明からさせてください。営業DXとは、デジタルという手段を通して営業がブラッシュアップされ、新たな価値を持つようになるセールストランスフォーメーション(SX)を目指すことです。

コストの制約や既存の価値観・枠組みなどが原因で伸び悩んでいる営業をDX(Digital Transformation)により、変革することが可能になります。

とはいえ、営業DXによって現段階で成果が出ている(KPI・業績向上につながっている)企業はまだ20%に留まっているというデータがあり、DXツール活用における段階のどこかにハードルがあり、使いこなすのが難しくなっていると考えられます。

営業DXが成果につながりにくい理由

村越 潤 氏:営業DX、中でも特に大事なデジタルツールの活用においてハードルが多い段階には以下のような点があります。

現場活用(データ入力→現場フィードバック):システム・ツールを使いこなせていない。データの未入力や入力不備が多く活用できない。集まったデータを顧客管理用でしか使っておらず、営業活動に活かせていない。
成果創出:KPI目標を達成できない。業績向上につながっていない。

現場で十分に活用されることだけでなく、その後に成果創出というハードルもあるため、営業DXを成果につなげることが難しいという印象を与えていることがわかります。

営業DXで成果を出すには2つのモデルチェンジが必要

村越 潤 氏:営業変革・DXでよくある失敗としては、レベル0「成果が出るモデルも仕組みもない」ところから、一気にレベル2「成果が出るモデルを効率化・進化させている」状態に持っていこうとするパターンです。このパターンでは、いきなり多くの高いハードルを乗り越えなくてはいけず、成功確率が低くなってしまうと考えています。

営業変革・DXがうまくいっている会社では、レベル0「成果が出るモデルも仕組みもない」から、営業モデルのレベルを一段階上げて、一度レベル1「組織として成果を出すモデルがある」状態をつくって、それからそれをデジタル化することでレベル2「成果が出るモデルを効率化・進化させている」を実現させるという流れをつくっています。

つまり、営業DXで成果を出すためには、以下2つにおいてモデルチェンジすることが求められます。

  • 営業モデルの変革:営業モデル自体をブラッシュアップし、自社にとって成果を出せる営業スタイルを明確にする
  • デジタルの変革:従来の属人的なやり方ではなく、営業DXに必要なシステム・ツールを活用し、業務のデジタル化を図る

これら2つのモデルチェンジを闇雲に行うのではなく、まずは営業組織として成果を出せるモデルを整備したうえでデジタル化を図ることで、営業変革・DXを実現することができるのです。

営業変革・DXの成功事例

村越 潤 氏:ここからは、具体的な営業変革・DXの成功事例を紹介していきます。
ある国内シェアNo.1の機器メーカーについてお話させてください。。

この企業では、以下のような課題に直面していました。

  • 成熟した市場においてトップシェアを誇っていたが、競合他社の攻勢が徐々に強まりシェアを奪われていた。
  • 全国にある営業が現場訪問するという営業スタイルだったが、競合他社のように意思決定層にトップセールスをかけるという新しい営業スタイルへの変革が求められていた。
  • 営業スタイルの変革にあたり、事業本部(マネジメント側)VS営業部門(現場側)の構図となってしまい、現場は個人戦任せで、離職も増えていた。
  • 導入したSFAは、顧客情報入力と日報機能の活動にとどまり、現場には生かされていなかった。

しかしモデルチェンジをきっかけに、以下のような変革を遂げることができました。

  • 成熟市場のコロナ禍でも、昨年対比で売上が約110%、営業利益は200%以上を実現
  • 新しい製品が出たわけではなかったが、強いセールス組織になり、競合他社に勝つことができるようになった。
  • 事業トップの方針が現場まで浸透し、属人的な営業スタイルから組織戦ができる営業組織になっていった。
  • 営業チーム毎に目標達成に向けたPDCA(Plan計画、Do実行、Check評価、Action改善)を主体的に推進できる組織になった。

この変革をもとに独自の勝ちパターンをSFAに実装することで、より効率的・効果的な営業を実現し、結果として営業DXを実現したのがこの会社でした。それでは、一体どのようにモデルチェンジを行ったのか、ここから説明したいと思います。

営業変革・DXの成功に向けたポイント

村越 潤 氏:ここでは、営業変革・DXの成功に欠かせないポイントを4点ご紹介します。

  1. どんな営業モデルを目指すのか

  2. 成熟期に求められるKPIとデータ
  3. 成果創出に必要なしくみ
  4. 成果創出に必要な教育・サポート

市場ステージ別に求められる営業モデルごとに重要なスキルを明確化

村越 潤 氏:まず「①どんな営業モデルを目指すのか」についてです。市場ステージごとに求められる営業モデルは異なるため、市場に合わせて目指すべき営業モデルを明確にすることが重要です。

例えば、新しい成長期にある市場の場合、訪問数に応じてシェアを拡大でき営業成果も得られるため、モノ売り営業(マニュアル営業)のような営業スタイルとなるかもしれません。一方、先の成功事例に挙げたような、成熟期の市場においては、シェアの奪取が必要となるため、顧客の課題に良い提案をするソリューション営業が求められます。

ここでお伝えしたいこととしては、市場やそれに合う営業モデルによって必要な営業スキルが変わるため、それらを明確化し強化することが必要だということです。

今回の成功事例の企業では実際にどんなスキルが売れる営業になるために必要なのかコンピテンシー分析を行いましたが、そこでわかったのが、どうやって自身の目標を達成するのかを明確にできているかを表す「達成計画力」と、お客様の課題をいかに引き出して自社の商品と結びつけて話せるかを表す「商品提案力」が特に重要だということでした。

ここで、改めていうと大事なのはあくまで自社に求められている営業モデルに合わせて必要なスキルを明確にするということです。今回ここでとりあげた会社は成熟期であり、そこで求められていたのが「達成計画力」と「商品提案力」だったということですね。

顧客心理と関係性を可視化

村越 潤 氏:次は「②成熟期に求められるKPIとデータ」についてです。営業変革・DXを成功させるうえで、数ある顧客の中でもどの顧客層に重点を置くか、また狙いを定めた顧客の売上げをどの程度高められるかが重要となります。

まず、どの顧客層に重点を置くかを決める際には、静的(結果)セグメントと動的(プロセス)セグメントでそれぞれ優先順位付けを行うと良いでしょう。

静的(結果)セグメントにおいて売れるセールスを行うためには、安定顧客を大切にしながら開拓顧客に積極的にアプローチし、重要顧客へとランクアップを試みることが必要です。ここはやっているお客様が多いかと思います。

一方、動的(プロセス)セグメントにおいては、顧客の移転や商品提案のタイミング、自社と顧客との関係性における動きなどを確認しながら優先順位付けを行うことがポイントとなります。こちらはやっているお客様は少なく、ぜひこちらにも取り組んでいただくことが大事です。

特に、これらの優先順位付けをデータに基づいて行うことができれば、組織全体が同じ認識を持ちながら取り組むことができます。

定めた顧客の売り上げを高めるのに必要なポイントとなるのは、顧客との関係性をどれだけ高めることができるかという点です。とはいえ、関係性の認識には個人差があるため、データを活用して可視化することで、営業全員の認識を合わせる必要があります。

例えば、各営業プロセスにおける購買心理と意思決定に関わる人物との関係構築フェーズを体系化し、可視化することはとても有効です。顧客との関係構築におけるフェーズを上げるために必要な情報についてもデータを活用して可視化し、共有しやすい形にする必要があるでしょう。

自走に向けた伴走

村越 潤 氏:次が「③成果創出に必要なしくみ」についてです。ここまでに説明してきたような、営業プロセスを全員が実現するためには、説明して理解してもらうことだけでは不十分で、何も考えずに実践できるようにするための仕組みが必要です。

重要なポイントは、プロセスの定義、プロセスの中で使う資料やツールの整備、そして通常の会議の中に営業マネジメントを組み込むことです。

はじめはコンサルタントが営業会議に参加し・進行することにより具体的なやり方を直に示し、徐々に各営業チームのマネージャーが自分たちで進行できるようにしていくなら、営業改革・DXの実現につながりやすいでしょう。


営業変革・DXにナレッジワーク

本記事を通して、営業変革・DXで成果を出すには、営業モデルのブラッシュアップとデジタル化が求められることがわかりました。とはいえ、これらを実現するには自力では難しいでしょう。

ナレッジワークでは、営業変革をサポートするのに役立つサービスを提供しています。ナレッジワークのツールを使用すれば、商品資料や動画、営業ノウハウを全員でシェアすることにより、商談準備などに求められる現場の負担を減らすことが可能です。

UIがわかりやすく、蓄積された資料に簡単にアクセスすることができるため、ナレッジを作成した後の運用がスムーズに進むという点も特徴の1つです。

以下の資料でナレッジワークの提供するサービスについて詳しく解説しています。興味のある方はぜひ確認してみてください。

ナレッジワーク 編集部
ナレッジワーク 編集部
セールスイネーブルメントや営業DX、営業生産性の向上に関するコンテンツを発信しています。弊社のナレッジやイベントレポートを通して、日本の営業組織変革のお役立ちできる情報をお届けします。

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