セールスイネーブルメントを実現するために必要なプロセスとは?
2024/03/21
ナレッジワーク編集部
セールスイネーブルメント(Sales Enablement)は、「営業全体のレベルアップがしたい」「売上げ成果を継続的にあげたい」と考えている企業に注目されている取り組みです。
本記事では、セールスイネーブルメントを実現するための具体的なプロセスについて解説しています。根本的な営業チームの改革をしたいと考えている方はぜひ参考にしてみてください。
セールスイネーブルメント(Sales Enablement)とは、営業担当者全員が売れる営業になるための、営業力強化メソッドのことです。
やるべきこと(MUST)の明確化、できること(CAN)の最大化を図ることで、営業メンバーの成果と能力それぞれの向上を加速させることがセールスイネーブルメントの目的になります。
セールスイネーブルメントの対象領域は、以下の4つです。
ワーク領域…営業プロセスの最適化によって業務においてやるべきこと(MUST)を明確にする
ナレッジ領域…営業資料や営業ノウハウを展開することで業務ができる(CAN)ようになる
ピープル領域…営業スキルの可視化により、各個人の能力を高めるためにやるべきこと(MUST)を明確にする
ラーニング領域…学習プログラムを提供することで営業チーム全体の能力を高めることができる(CAN)ようになる
先述した通り、セールスイネーブルメントには、成果・能力の向上のために「MUST:やるべきことの明確化」と「CAN:できることの最大化」が必要です。
ここからは、セールスイネーブルメントを実現させるために必要なプロセスを領域別に解説していきます。
多くの会社では、営業担当が属人的に営業プロセスを進めていることが往々にしてあります。そのため、再現性のあるプロセスによって成果を生みだせるよう、営業プロセスを標準化することが必要です。
まずやるべきこととしては、営業プロセスの設計になります。たとえば、以下のようにフェーズ・ステップ・ファクターの3つに分けて考えましょう。
フェーズ:受注にいたるまでの顧客の状態の変化
ステップ:受注にいたるまでの自社の営業担当の大枠の行動
ファクター:それぞれの営業ステップのなかで、営業担当に具体的に求められる行動
中でも特に重視する必要があるのは、営業フェーズの内容を営業プロセスに適用できているか、また顧客視点でプロセスを進められているか、という考え方です。
また、営業成果は以下の図に示されている7つのCに左右されるということも覚えておきましょう。これらの要素を強化することが受注につながるため、ぜひ参考にしてください。顧客や商品によって重要性は変わるものの、どこかが欠けていたことで受注につながらなかったというケースは少なくありません。
加えて、受注失注分析を行うことは、営業プロセスをブラッシュアップすることにつながるため重要です。
多くの企業でしっかりと把握されていない失注理由ですが、以下のような「4つの不」と「8つのK」が考えられます。
不信:共感(Kyoukan)が得られていない
不要:課題(Kadai)を認識していない、価値(Kachi)を感じていない
不適:競合(Kyougou)に勝てていない、工数(Kousu)が捻出できない
不急:金額(Kingaku)に納得感がない、期日(Kijitsu)を決めていない、決済(Kesai)が通らない
受注理由に挙がるものをいかに強化していくか、また失注理由に挙がるものをいかに排除していくかは、セールスイネーブルメントの実現にとって大切なポイントです。
営業プロセスの全体像をはじめ、どんなゴール・ステップ・ファクターがあるのか、どんなアクションを取らなければならないのかが一目でわかるようなハンドブックを用意しておけば、営業担当者が営業活動を進めやすいでしょう。
営業ナレッジを正しく展開することで再現性のある営業プロセスを推進できるようになります。
たとえばコンテンツとノウハウを資料化し、営業担当者全員がアクセスできるような環境に格納しましょう。
コンテンツとは、主に会社説明の資料・動画や商品説明の資料・動画、顧客事例資料、競合比較資料などです。一方でノウハウには、トークスクリプトやプレゼン・商品勉強会・営業研修の動画、営業マニュアル資料などが含まれます。
特に、コンテンツを充実させることは非常に重要です。なぜなら、単価の高い営業では多くの商談において資料や動画が用いられているからです。まずは人を育てる前に、資料を育てることを目指しましょう。
ナレッジ領域において必要となるのは、資料の作成だけではありません。集約性と更新性を意識して利便性の高い運用をすることが必要です。運用が上手くいっていない場合は、「ナレッジの集約されている場所がわかりにくい」「内容が更新されていない」などの理由が考えられます。
営業担当が実際に使えるような有用なナレッジを増やし、ほかの人も参考にしながら実現できるような状態が理想です。
企業自体が売上げ成果を上げるために必要なスキルを把握できていないと、営業チームは非効率的な営業をすることになります。これは要するに、受験科目がわからない状態で受験勉強するのと同じです。
営業として必要なスキルは大きく分けて3つあります。
プロダクトリテラシー(商品知識):自社・競合・顧客に対する理解に加えて、会社の紹介や他社との比較、顧客の課題とあわせて商品説明ができるスキル
セールススキル(営業技術):ヒアリングや顧客提案、クロージングなど営業プロセスを進めていくためのスキル
ポータブルスキル(基礎能力):ドキュメンテーション(資料作成)やコミュニケーション、ロジカルシンキングのスキル
ただし、これらのスキルをすべて営業担当者に身につけさせるのは大変なので、自社ではどのスキルを伸ばすことが必要なのか見極めなければなりません。各企業の営業タイプや対象者によって必要となるスキルは異なるでしょう。
たとえば、新規開拓の場合はプロダクトリテラシー、既存深耕の場合はセールススキルが必要です。また、顧客窓口が決裁者(中小企業)の場合は顧客提案、担当者(大手企業)の場合はクロージングが大切といえます。
また、自社商品がある場合や顧客の顕在課題に対応する場合はプロダクトリテラシー、代理店など他社商品を扱う場合や顧客の潜在課題に対応する場合はセールススキルが重要です。
加えて、営業担当のタイプによってもフォーカスするべきスキルは異なります。新卒や営業経験のない人ならポータブルスキル、中途入社や営業経験者ならプロダクトリテラシーを身につける必要があるでしょう。
ラーニング領域において大事なのは、営業の全体像を見せることです。全体像が見えないまま場当たり的に学ぶことは非効率といえます。
ステップの全体像を理解した上で学習を進めましょう。そのためには、ラーニングコースの設計が必要です。
たとえば、以下のようなラーニングコースが必要となるかもしれません。
プロダクトリテラシーのラーニング:商品理解や顧客理解、領域理解を高めるため、営業ナレッジ(商品紹介資料、顧客事例資料など)を教材としてコースを作る。
セールススキルのラーニング:営業プロセスを分解してそれぞれごとにナレッジ(営業ハンドブック、ヒアリングシート、提案フォーマットなど)を使って学ぶ。また、実際に他者が商談している様子を見ることは特に有効なため、個別商談の動画(一社との初回~3回目までの商談など)を見る。
ポータブルスキルのラーニング:ベーシックスキル(コミュニケーション、ロジカルシンキング、ドキュメンテーション)を学ぶ。
なお学習にあたっては、「理解」「実践」「振り返り」の3ステップが重要です。
それぞれの具体例は、以下の通りです。
理解:学習コースを使って必要な知識を理解する。
実践:現場で、商談の一部(商品説明の部分のみ)またはすべてを担当させてもらう。
振り返り:商談に同行した先輩と一緒に振り替える。セールスを実践してみて録画したものを先輩と一緒に振り替える。商談の議事録を作ってフィードバックをもらう。
本記事では、セールスイネーブルメントの実現に向けて必要なプロセスを紹介してきました。セールスイネーブルメントによって、企業は営業活動の効率や営業成果を向上させることができます。
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