デジタルセールスを実現する方法を詳しく解説|今営業部門が取り組むべきこととは?
デジタルテクノロジーが急速に発展している昨今、営業部門においてもデジタルツールの導入を進める企業が増えてきました。今後、営業部門が効率的かつ戦略的な営業活動を展開するためには、デジタルツールを活用した営業手法「デジタルセールス」の実現が不可欠です。
そこで本記事では、昨今注目を集めているデジタルセールスの実現方法について詳しく解説します。記事後半では、今営業部門が取り組むべきことも2つご紹介しているので、ぜひ今後の参考にしてください。
目次[非表示]
- 1.デジタルセールスとは?
- 2.デジタルセールスを実現する方法① 顧客管理のデジタル化
- 2.1.アナログ時代の顧客管理
- 2.2.デジタル時代の顧客管理
- 2.3.デジタル化によるメリット
- 2.3.1.顧客情報の効率的な共有が可能
- 2.4.データに基づき顧客ターゲットの選定が可能
- 3.デジタルセールスを実現する方法② 営業プロセスのデジタル化
- 3.1.アナログ時代の営業プロセス
- 3.2.デジタル時代の営業プロセス
- 3.3.デジタル化によるメリット
- 3.4.自動化によるメリット
- 3.5.業務プロセスの最適化が可能
- 3.6.アナログ時代の営業ナレッジ
- 3.7.デジタル時代の営業ナレッジ
- 3.8.デジタル化によるメリット
- 3.8.1.商談に必要な資料・動画を効率的に活用可能
- 3.9.商談時間以外でも購買意欲を高めることが可能
- 3.9.1.データに基づいた営業ナレッジの活用の促進
- 4.デジタルセールスを実現するために営業部門が取り組むべきこと
- 4.1.デジタルツールの導入
- 4.2.スタッフ部門の強化
デジタルセールスとは?
デジタルセールスとは、その名の通りデジタルテクノロジーを活用した営業手法を指します。
この営業手法には、これまで活用されてきたメールや電話などの手法に加え、近年普及が進んでいる顧客管理システムツール「CRM(カスタマーリレーションシップマネジメント)」や営業支援ツール「SFA(セールスフォースオートメーション)」などのデジタルツールを駆使した営業活動が含まれます。
デジタルセールスは「誰に=顧客管理」「何を=営業ナレッジ」「どのように=営業プロセス」の3つの領域のデジタル化によって実現することが可能です。
デジタルセールスを実現する方法① 顧客管理のデジタル化
まず、デジタルセールスを実現するためには、「誰に=顧客管理」のデジタル化が欠かせません。以下では、顧客管理のデジタル化について具体的に解説していきます。
アナログ時代の顧客管理
アナログ時代では、一般的に営業担当がノートやエクセルを用いて各自で顧客管理を行っていました。
1980年代には、イエローページ(電話帳)から会社情報を入手し、上から順に顧客へアプローチしていました。1990年代に入ると、インターネットの普及により企業が自社ホームページを持つようになったことで、売上や従業員数などの経営情報に基づいたアプローチができるようになっていきます。
この企業ホームページの出現により、一定の経営情報をもとに顧客を選別してアプローチができるようになり、当時では大幅な営業生産性の向上がありました。
ただし、営業担当が各自で顧客管理をしていたため、同じ企業に複数の営業担当がアプローチするといった非効率な状況も発生していました。
デジタル時代の顧客管理
デジタル時代では、SFAやCRMなどのデジタルツールを活用した顧客管理が主流です。
顧客管理に関しては、以前よりデジタル化が進んできた領域であり、1990年代には会社情報や経営情報をシステムで管理できるCRMが誕生しました。これにより、営業担当の割り当てや顧客情報の引き継ぎが可能になったことで業務の効率化が図られるようになりました。
さらに、2000年代には営業支援ツールであるSFAが、2010年頃にはマーケティング活動の自動化ツールMA(マーケティングオートメーション)が登場し、CRMだけでは管理できなかった顧客の「担当者情報・商談情報・行動情報」をシステム上で管理できるまでにいたっています。
デジタル化によるメリット
顧客管理のデジタル化によるメリットは、主に以下3つがあげられます。
- 顧客情報の効率的な共有が可能
- データに基づき顧客ターゲットの選定が可能
- 顧客情報・商談情報に基づいた戦略マネジメントが可能
1つずつ詳しく見ていきましょう。
顧客情報の効率的な共有が可能
1つ目のメリットは、顧客情報の効率的な共有が行えることです。
これまでは、顧客情報の引き継ぎや共有が漏れることがあり、同じ企業に重複してアプローチしてしまうなどの非効率が起こっていました。
しかし、顧客管理のデジタル化によって顧客情報や商談履歴をデータベースに保存しておけるため、顧客情報の引き継ぎや共有がスムーズに行えるようになります。
データに基づき顧客ターゲットの選定が可能
2つ目のメリットは、データに基づき顧客ターゲットを選定できることです。 顧客管理ツールに備わっている顧客データの分析機能を活用すれば、収集したデータから顧客の属性や購買傾向を把握できます。これにより、データに基づいた顧客選定ができる他、各顧客に適したアプローチ方法を検討できます。
従来では、上司の勘や経験に頼って顧客ターゲットの選定が行われていましたが、顧客管理のデジタル化により、根拠やエビデンスに基づいたアプローチが実現できます。
顧客情報・商談情報に基づいた戦略マネジメントが可能
3つ目のメリットは、顧客情報・商談情報に基づいた戦略マネジメントが行えることです。これは、CRMやSFAの活用により、あらゆる顧客データを簡単に取得できるようになったことが理由です。
たとえば、「自社の商品・サービスはどの業界で需要があるか」といった顧客属性に関する情報を可視化すれば、今後積極的にアプローチしていくべき業界が明確になります。
さらに、SFAまで運用できていると、「どの段階で案件を失注することが多いか」「比較検討まで進んでいる企業はどのくらいいるか」といった細かい分析ができるため、営業プロセスの改善に活かすこともできるでしょう。
このように、顧客情報や営業活動の進捗状況をデータとして蓄積・分析することで、営業活動における課題の特定や施策立案に役立てられます。
デジタルセールスを実現する方法② 営業プロセスのデジタル化
デジタルセールスを実現するためには、「どのように=営業プロセス」の領域もデジタル化していく必要があります。
ここからは、営業プロセスのデジタル化について具体的に解説していきます。
アナログ時代の営業プロセス
アナログ時代の営業プロセスは、一部の業務のみがITシステムにより進められていました。
一般的に、営業活動は「顧客選定→日程調整→商談準備→商談→商談記録→契約」といったフローで進められますが、これまでは商談用の資料作成に時間をかけ、議事録を手作業で作成するなど、非効率な業務プロセスが行われてきました。
デジタル時代の営業プロセス
デジタル時代においては、営業に関するあらゆる業務がITツール上で進められると考えられています。
これまで手作業で行われていた業務をすべて自動化することによる営業活動の効率化が求められているのです。実際、米国では前述した各営業プロセスのほぼすべてに対応したデジタルツールが存在しています。
デジタル化によるメリット
営業プロセスをデジタル化することで、以下のようなメリットがあります。
- 自動化により業務の効率が向上
- 業務プロセスの最適化が可能
1つずつ詳しく見ていきましょう。
自動化によるメリット
営業プロセスのデジタル化によるメリットは、各営業フローの自動化により業務効率を劇的に向上させられることです。
たとえば、AIによる議事録の自動生成ツールや契約リスクの自動管理ツールなどの導入により、手作業で行っていた業務を自動化させることで、これまで直接利益につながらない業務に費やしていた時間を利益に直結する業務に集中できるようになるのです。
その他、Web会議ツールやオンライン上で学習できるラーニングツール、テレアポで使えるトークスクリプト自動生成ツールなど、多種多様なデジタルツールが存在していますが、これらをうまく組み合わせることで業務効率の大幅な向上が期待できます。
業務プロセスの最適化が可能
営業プロセスのデジタル化による2つ目のメリットは、業務プロセスを最適化できることです。
多くの企業で属人的になっていた営業プロセスが、ベストプラクティスやデータに基づき最適化されることが期待できます。
デジタルセールスを実現する方法③営業ナレッジのデジタル化
営業ナレッジとは、商品・サービスに関する知識や営業ノウハウ、顧客への提案資料といった、営業担当者が業務を遂行するために必要な情報知識の集合体です。デジタルセールスを実現するためには、「何を=営業ナレッジ」のデジタル化も推進していくことが求められます。
ここからは、営業ナレッジのデジタル化について具体的に解説していきます。
アナログ時代の営業ナレッジ
アナログ時代の営業ナレッジは、すべて紙の資料としてオフィス内に保管されていたため、必要なタイミングで即座に活用することが難しく、ほとんど活用されていない状態でした。
デジタル時代の営業ナレッジ
デジタル時代では、営業活動に最適化した形でナレッジを活用できるようになりました。
2000年代に登場したクラウドストレージサービスや2010年頃に登場したセールスナレッジマネジメントツールによって、いつでもどこからでも必要な情報にアクセスできるようになったことが大きな要因です。
デジタル時代においては、こうした営業ナレッジのデジタル化により効率的かつ戦略的な営業活動が期待されています。
デジタル化によるメリット
営業ナレッジのデジタル化では、以下のようなメリットがあります。
商談に必要な資料・動画を効率的に活用可能
- 商談時間以外でも購買意欲を高めることが可能
- データに基づいた営業ナレッジの活用の促進
それでは1つずつ詳しく見ていきましょう。
商談に必要な資料・動画を効率的に活用可能
営業ナレッジのデジタル化による最大のメリットは、商談に必要な資料・動画を効率的に活用できることです。
これまでは、商談で使いたい資料や動画を見つけるだけでも膨大な時間を要していました。場合によっては発見すらできず、各営業担当がイチから提案書を作成するといったことも日常的に起こっていました。
実際、2015年に実施された「企業内の営業ナレッジ活用状況」に関する調査では、企業は営業ナレッジがあるにもかかわらず、その60%以上が有効に活用できていないという結果が出ています。
こういった問題を解決してくれるのがデジタルツールです。
デジタルツールを活用することで、営業担当者一人ひとりが持つスキルやノウハウを社内に蓄積していけるとともに、社内のメンバー全員が発見しやすい状態でナレッジを保管できます。
これにより、商談に必要な資料や動画を効率的に活用でき、組織全体の営業レベルの向上が期待できます。
商談時間以外でも購買意欲を高めることが可能
営業コンテンツのデジタル化による2つ目のメリットは、商談時間以外でも顧客の購買意欲を高められることです。
これまでは、商談時間内でしか営業活動ができず、実際に顧客と商談を行えるのは4〜5時間程度が限界でした。
しかし、デジタルツールを活用すれば、商談時間外であっても顧客のタイミングで資料や動画を閲覧してもらえるため、営業活動の効率化が進むと考えられています。
データに基づいた営業ナレッジの活用の促進
営業コンテンツのデジタル化による3つ目のメリットは、データに基づいた営業ナレッジの作成・活用が促進できることです。
ナレッジマネジメントツールには、ファイルごとに「誰が・いつ・どのページを開いたか」をトラッキングできる機能が備わっているものもあります。こうした機能を活用すれば、閲覧データに基づく戦略的な営業ナレッジの活用が可能です。
たとえば、サービスの紹介や提案内容などがまとめられたページを顧客と共有し、「どの資料のどのページを閲覧したか」「どのタイミングで資料のダウンロードにいたったか」など、ファイルの閲覧状況を確認することで、顧客が関心を持つ商品やサービスに絞った提案戦略の立案が可能になるでしょう。
デジタルセールスを実現するために営業部門が取り組むべきこと
デジタルセールスを実現するために営業部門が取り組むべきことは以下2つです。
- デジタルツールの導入
- スタッフ部門の強化
これからデジタルセールスの実現を検討している企業様は、ぜひ参考にしてみてください。
デジタルツールの導入
営業部門がデジタルセールスを実現するためには、まずデジタルツールの導入が必要です。デジタルツールを導入することで、あらゆる業務を効率的かつ戦略的に実行できます。
矢野研究所が2019年に発表したレポート「CRM/SFAのSaaS利用率」によると、CRMを導入している日本企業の割合は28%と、米国の74%に比べると非常に低いことがわかりました。この結果からもわかるように、日本企業がデジタルセールスを実現するために取り組むべき課題は、デジタルツールを導入することです。
しかし、一度にすべての領域をデジタル化するのは難しいため、自社にとって優先順位の高い領域から徐々に取り入れていくことが重要です。
スタッフ部門の強化
デジタルセールスを実現するためには、スタッフ部門の強化も必要です。営業のデジタル化や営業DXに疎いスタッフばかりでは、デジタルツールを導入しても一向に成果をあげることはできません。
そのため、まずは営業のスタッフ部門をしっかりと育成し、選定・運用・設計ができる体制を整える必要があります。
まとめ:営業組織を強化するためにはデジタルセールスの実現が重要
デジタルセールスは、近年普及が進んでいるCRMやSFAなどのデジタルツールを駆使した営業手法です。「誰に=顧客管理」「何を=営業ナレッジ」「どのように=営業プロセス」の3つの領域をデジタル化することで、従来よりも効率的かつ戦略的な営業活動が展開できます。
そのなかでも、営業ナレッジ領域のデジタル化には、ナレッジワークの活用が有効です。営業力強化に必要なさまざまな要素を、1つのツールで体系的に実現できるため、営業活動の効率化や営業成果の向上が期待できます。
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