セールスイネーブルメントとは?意味や役割、メリットを解説
セールスイネーブルメント(Sales Enablement)は、「営業全体のレベルアップがしたい」「売上げ成果を継続的にあげたい」と考えている企業に注目されている取り組みです。本記事では、セールスイネーブルメントとはそもそも何のことなのか、なぜ必要なのかをご紹介します。
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セールスイネーブルメントとは
セールスイネーブルメント(Sales Enablement)とは、全営業担当者が売れる営業になるための、営業力強化メソッドのことです。
Sales(販売)をEnablement(容易に、可能に)することにより、営業メンバーの業務時間に対する成果や能力の向上を促進します。
一部の営業担当者だけでなく、営業担当者全員のレベルをアップすることを目標としていることが大きな特徴の1つです。
欧米では約6割の企業ですでに導入されており、営業成約率が6.6%、予算達成率が10.6%アップしたというデータがあります。
これらの企業は、営業一人当たりに年間約15万の育成予算を使用しており、セールスイネーブルメントが企業にとって資金を投与する価値のある取り組みであるということがわかります。
引用元:「CSO Insights :The 2018 Sales Enablement Report」
セールスイネーブルメントの意味
セールスイネーブルメントに取り組むことで、営業担当者一人ひとりの能力をレベルアップし、業務に費やす時間に対する成果を向上させられます。
とはいえ、セールスイネーブルメントは研修や人材育成と同義ではありません。
例えば、人材育成のために実施されているOJTは、育成を担当するマネジャーによって指導内容やレベルに違いが生じるため、実効性は高いものの再現性が低くなります。また、現場において、商談の成功だけでなく人材育成にも対応する必要性が生じるため、現場における担当者の負担が大きくなります。
また、人事研修や外部研修などの研修は営業全員に同じ教育を施すため再現性は高いものの、現場に行ってみると活用できないことが多々あるため、実効性の低い方法といえるでしょう。
一方、セールスイネーブルメントは再現性と実効性の両方を兼ね備えた方法のため、組織全体の営業力を総合的にレベルアップさせることが可能です。
セールスイネーブルメントの役割
営業メンバー個々人の営業成果や能力は、時間の経過と共に高まっていきます。
しかし、一定のレベルに到達するまでに必要となる時間には個人差があり、さらに時間も多くかかってしまうことが少なくありません。
セールスイネーブルメントには、するべきこと(MUST)を明確化しできること(CAN)を最大化することにより、成果と能力それぞれの向上を加速させる役割があります。
セールスイネーブルメントの対象領域
セールスイネーブルメントの対象領域は、以下の4つです。
- ナレッジ領域:営業ナレッジの展開
- ワーク領域:営業プロセスの最適化
- ラーニング領域:営業向けの学習プログラムの提供
- ピープル領域:営業スキルの可視化
業務における成果の向上を加速するために、まず必要となるのがワーク領域です。ワーク領域とは、営業プロセスの標準化によって、業務においてやるべきこと(MUST)を明確にすることを指しています。
そして、ナレッジ領域にて営業資料や営業ノウハウを展開することにより、さらに業務ができる(CAN)ようになります。
一方、人材の能力向上を加速するために、まず必要となるのはピープル領域です。ピープル領域とは、営業スキルの定義・定量化により、営業担当者一人ひとりの能力を高めるためにやるべきこと(MUST)を明確にすることを指しています。
そして、ラーニング領域にて学習プログラムの提供をすることにより、営業チーム全体の能力をさらに高めることができる(CAN)ようになるのです。
セールスイネーブルメントが必要とされる理由
営業組織の目指す姿とは、営業チーム全員が売れる営業になっている状態です。とはいえ、現在の営業を取り巻く環境では、理想の姿を目指すのが困難といえる以下のような理由があります。
- 商品が変化していること
- 手法が変化していること
- 時間が変化していること
これらの理由について、以下で詳しく説明します。
商品の変化
まずは、日々、さまざまな新商品が誕生していることが営業を悩ます理由として挙げられます。新商品が増え続けることで、営業担当が1つの商品を深く理解するのが難しくなっているのです。
また、同じ商品であっても新たな機能が今までよりもスピーディに追加され、営業担当の理解が追いつかないことも理由の1つといえます。
手法の変化
これまでの営業は商品説明だけでも売上げの成果を上げることができましたが、昨今では顧客の課題解決を助ける「ソリューション営業」が求められています。
つまり、商品のプレゼンと顧客の課題解決策をセットにして商談を行うことが必要ですが、実際のところ対応しきれていない企業が多いのが現状です。
時間の変化
政府の実施する働き方改革の影響により、勤務時間に制限があることも理想の営業を目指すのが困難となっている理由の1つです。
働き方改革には時間外労働の上限規制が含まれており、大企業の場合は2019年4月から、中小企業は2020年4月から導入されています。
商談準備(提案書作成など)にかかる時間が従来と変わらないながら勤務時間が限られているため、準備に必要な時間が足りず営業成果を上げることが難しくなっているのです。
セールスイネーブルメントのメリット
セールスイネーブルメントには、営業効率と営業効果の両方において多くのメリットがあります。
具体的に、どのようなメリットがあるのか見ていきましょう。
営業効率の向上
まずセールスイネーブルメントによって、営業効率の向上が期待できます。
たとえば、以下のようなことが可能です。
- 情報収集にかかる時間を削減できる
- 商談の資料作成にかかる時間を削減できる
- マネジメント工数を減らせる
- 人材育成に必要な工数を減らせる
このように、時間と工数を削減することで短い勤務時間内に営業成果を上げることができるようになり、営業効率を向上できるのです。
営業効果の向上
また、セールスイネーブルメントによって営業効果の向上も期待できます。
たとえば、以下のようなことが可能です。
- 営業受注率を下げている要因を取り除ける
- 顧客単価を向上させられる
- ハイパフォーマーとローパフォーマーの差を埋められる
- 新人が戦力になるまでの時間を短縮できる
営業担当者全員がいち早く、また同レベルのパフォーマンスをすることができるようになるため、営業効果の向上につながります。
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システムをどう設計して設定・利用していくかなどの運用サポートだけでなく、セールスイネーブルメントの強化そのものをどうやって行っていくかまで、担当のコンサルタントがしっかりサポートしますので、ぜひお気軽にお問合せください。