営業ナレッジマネジメントを実現させる方法とは?例を用いて解説
営業の現場での成功は、効果的な営業ナレッジマネジメントが大きく貢献します。
そこでこの記事では、実際の営業現場で役立つ、独自の営業ナレッジマネジメントの実現方法を深堀りしてご紹介します。
会社や商品の紹介資料の作り方から、顧客の深い理解、競合との差別化の方法、そして効果的なヒアリングとクロージングの技術まで、営業プロセス全体を網羅的にカバーしていますので、ぜひ参考にしてください。
目次[非表示]
- 1.営業ナレッジマネジメント(セールスナレッジマネジメント)を実現させる方法
- 1.1.7Cとは何か
- 1.2.1.会社紹介資料の作成
- 1.2.1.会社紹介資料作成のポイント
- 1.2.2.会社紹介資料のよい例
- 1.3.2.商品紹介資料の作成
- 1.3.1.商品紹介資料作成のポイント
- 1.3.2.商品紹介資料のよい例
- 1.4.3.顧客の理解
- 1.5.4.競合との比較
営業ナレッジマネジメント(セールスナレッジマネジメント)を実現させる方法
営業ナレッジマネジメントを実現させる方法を7Cに沿って解説します。
よい例もあわせてご紹介するので、ポイントをチェックして作成してみましょう。
7Cとは何か
7Cとは、自社紹介(Company)・競合比較(Competitor)・顧客理解(Customer)・商品紹介(Commodities)・ヒアリング(Customer interview)・顧客提案(Customer Proposal)・クロージング(Contract)の頭文字を取った言葉です。
営業の成果をあげるには、この7Cそれぞれで適した資料を活用し、顧客への提案などをしなければいけません。それぞれに必要な資料は、以下のとおりです。
これらの資料の一部の作成方法を以下で解説していますので、それぞれの作成ポイントを把握し、営業の成果をあげる参考にしてください。
1.会社紹介資料の作成
自社紹介(Company)の会社紹介資料の作成についてお伝えします。
会社紹介資料の作成では、顧客に「この企業と取引したい」と思わせるような魅力的な要素を盛り込む必要があります。人・物・金のうち自社の魅力はどこなのかを踏まえて作成しましょう。
会社紹介資料作成のポイント
会社紹介資料作成のポイントは、しっかりと魅力を訴求することです。会社の従業員数や資本金、事業内容などは自社を知ってもらう上で重要な記述ですが、ただ事実を書いているだけでは魅力は伝わりません。
その事実により顧客にどのようなメリットがあるのかを、グラフや表などを挟みながら具体的かつわかりやすく提示しましょう。
会社紹介資料のよい例
たとえば、拠点数が多いコピー機の会社であった場合、次のように訴えかけるとよいでしょう。
「全国に展開しているという会社概要を根拠に、『トラブルがあったときどこでも近くの支店からすぐに社員が伺います』というPRを使う。」
アフターフォローやサポートが充実している、といった風に信頼感を与え、受注につながりやすくなります。
2.商品紹介資料の作成
次に、商品紹介(Commodities)の商品紹介資料の作成についてお伝えいたします。
商品紹介資料を作成する際は、商品の機能を基に魅力を書き出します。顧客の購買動機を高めるために、以下のポイントをチェックして作成してみてください。
商品紹介資料作成のポイント
商品紹介資料作成では、商品の価値を訴求することがポイントです。持続時間や画質など、ただ数字で機能だけを提示しても価値は伝わりません。顧客は、事業や日常において何かしらの課題をもっています。「課題を商品によってどう解決できるか」という要素が、顧客にとっての価値となります。
商品紹介資料のよい例
商品紹介資料は、顧客の理想→顧客の課題→商品が提供できる価値→商品が提供できる方法、と順に沿って作成しましょう。
たとえば、経営幹部向けの研修プログラムであれば、「再現性が低く研修内容を活用できていない」といった課題が考えられる場合、商品が提供できる価値として「再現性が高く研修後のアクションプランまでフォローする」と提示するのがポイントです。
また、商談の際に、順を追って説明していくことで課題が浮き彫りになり、これまで課題を掴めていなかった顧客にも効果的にアプローチしやすくなります。
3.顧客の理解
次に、顧客理解(Customer)についてお伝えいたします。
昨今では、課題を解決するソリューション営業が必要不可欠です。どんなに会社や商品が魅力的でも、顧客の理解度が低いと営業の成果が出にくいため、顧客の理解を深めてから商談に移りましょう。
顧客理解のポイント
顧客理解のポイントは、課題の仮説を提示することです。
仮説を立てず、「御社の課題は何ですか?」と漠然とした質問では、顧客が抱えている悩み・課題を的確に見抜けません。そもそも、顧客ですら自社の課題をわかっていないケースも珍しくないのです。
そのため、商談におもむく前には、業界やタイプ別にありがちな課題を把握しておきましょう。顧客との状況が似ている他社の事例を紹介するのも効果的です。解像度を上げられるよう、顧客情報をリサーチした上で、「御社の業界ではこんな課題が多いですよね」と仮説を投げかける必要があります。
また、顧客理解のレベルに応じて、営業のアクションや必要なナレッジも変わります。たとえば、以下の資料のように分けることが可能です。
このように、顧客理解のレベルが深いほど顧客の課題について深く会話することができ、成約につながりやすくなります。
顧客理解のよい例
顧客理解で他社の事例紹介をするときは、課題・導入理由・具体的な取り組み・効果を以下のように順に説明します。
- 課題:中途入社者が多く属人的なマネジメントが広がっている
- 導入理由:他社の研修よりも網羅的にマネジメントを学べる
- 具体的な取り組み:ビジョンや戦略、個別のアクションプランなど4日間のプログラムを実施
- 効果:適切なアクションプランを立てられると共に、共通のフレームワークでスムーズに議論できるようになった
課題から効果まで明確に説明することで、顧客の顕在ニーズだけではなく潜在ニーズも浮き彫りにできます。
4.競合との比較
次に、競合比較(Competitor)についてお伝えいたします。
営業活動をする上で、同業他社の存在もスルーできません。顧客に選んでもらうためには、競合と比較し、自社にとって優位なポイントを訴求する必要があります。
競合比較のポイント
競合比較のポイントは、顧客の優先順位を踏まえた上で自社の優位な要素を押し出すことです。
顧客は、サポートや価格など、重要視する要素を優先して商品を選びます。たとえば、価格重視の顧客であった場合、自社の商品が高いと不利になってしまいます。
しかし、不利だからといって成約につながらないわけではありません。たとえば、機能性において他社よりも有利な場合、「たしかにランニングコストは他社よりもかかってしまいますが、この機能で多くの業務を効率化できるため長期的に見たら大きなコストカットになります」などとアプローチすると成約につながる可能性はあります。
このように、顧客の選定基準の優先順位を、自社の強みに入れ替えられる状態を目指すべきなのです。
競合比較のよい例
競合比較資料を作成する際は、まずは顧客の選定基準の優先度を理解し、その優先度を踏まえて客観的な表を作成しましょう。たとえば、経営幹部向け研修の営業の場合、以下のような表を作成します。
複数の要素で、できるだけ客観的にメリットやデメリットがわかるよう記載しましょう。その後、自社にとっての強みの重要性を顧客に伝え、選定基準の優先度を並び替えるよう促します。
そうすることで、競合ともしっかりと比較した上で、自社の強みを押しだすことが可能となります。
h3:5.ヒアリングファクターのコンテンツ作成
次に、ヒアリング(Customer interview)のコンテンツ作成についてお伝えいたします。
ヒアリングファクターのコンテンツは、顧客へのヒアリングの際に使用します。以下のポイントを踏まえて綿密に作り込むことで、受注率を上げられます。
h4:ヒアリングファクターのコンテンツ作成のポイント
顧客にヒアリングをする際、課題だけをヒアリングするのでは不十分です。営業プロセスを適切に進めるためにも、顧客の決裁情報までヒアリングを行いましょう。そのため、ヒアリングファクターのコンテンツを作成する際は、顧客の課題だけではなく「決裁情報」まで網羅しておくのがベストです。
具体的に決済情報とは、以下の情報が挙げられます。
決裁社
決裁ルート
会議体
競合
金額
期日
これらの情報もヒアリング時に確認しておくことが大切です。
また、アプローチはタイミングも重要となります。ヒアリングの時間は、受注につなげられるよう決裁情報を把握しておきましょう。
h4:ヒアリングファクターのコンテンツのよい例
経営幹部向け研修におけるヒアリングファクターのコンテンツでは、以下の点などをチェックできるよう作成しましょう。
経営幹部にはどのような役割を求めますか?
現状で経営幹部に不足していることは?
研修プログラムの具体的な内容は?
どのような研修プログラムを実施したいですか?
検討はいつまでで最終決裁者は誰ですか?
ヒアリングの際は、顧客が話しやすい内容から始めるとスムーズです。
h3:6.顧客提案ファクターのコンテンツ作成
次に、顧客提案(Customer Proposal)のコンテンツ作成についてお伝えいたします。
顧客向けの提案書作成では、単に受注を目指すだけではうまくいかないことが多いです。大切なのは、失注しないような提案書を作成することとなります。
h4:顧客提案ファクターのコンテンツ作成のポイント
失注理由は主に4つのカテゴリーに分類されます。それは、
不信:会社の実績への信頼がない
不要:課題と商品の価値が合致していない
不適:他社サービスとの比較で優位性が分からない
不急:コストや期日などの条件面で合わない
の4つです。提案書作成時には、これらの失注リスクをきちんと認識し、それに応じた対策を考えることが大切です。
たとえば、競合との比較が問題点となりそうな場合、提案書にはしっかりとした比較点を含めるべきです。また、顧客が導入を急ぐ必要がないと感じる場合、なぜ今導入すべきなのかの理由や目標を明確に示すことが重要となります。
h4:顧客提案ファクターのよい例
顧客提案資料の作成においては、まずお客様の課題を明確に整理し、その解決のための価値を具体的に提供しなければいけません。さらに、競合との比較や導入スケジュールを加えることで、失注のリスクを最小限に抑えることができます。
私たちの会社では、提案前にお客様に「弊社のサービスを導入しない場合の理由は何ですか?」と直接問いかけることで、そのフィードバックをもとに必要な提案書を作成しています。このように、失注の可能性を事前に洗い出し、それに対応した提案書を作ることで、受注の確率を高めることができると考えています。
h3:7.クロージングファクターのコンテンツ作成
次に、クロージング(Contract)のコンテンツ作成についてお伝えいたします。
提案後のクロージングは、ただ顧客の意思決定を待つだけでは不十分です。提案した後も、顧客の意思決定を適切にサポートし、確実なクロージングを迎えるための状態作りが必要となります。
h4:クロージングファクターのコンテンツ作成のポイント
クロージングの際に重要なのは、意思確認、懸念払拭、そして稟議支援を行うことです。上記で記載した、顧客に「導入しない理由は何か?」と問いかける行為は意思確認の一つと言えます。顧客の意向をきちんと確かめ、懸念点を解消し、稟議までのサポートを行うことで、受注の確率を上げることができるでしょう。
h4:クロージングファクターのよい例
クロージングファクターのコンテンツを作成する際には、顧客の社内構造や役職、関係性、各部門の特徴を理解することも重要です。
例として、幹部向けの営業研修の提案をする際、人事部門が決済者である場合でも、営業部門の役員が大きな影響力を持っている可能性があります。その場合、その役員を稟議の説明に同席してもらうよう提案することが効果的です。
このように顧客の社内関係を緻密に把握して対応することで、受注の確率を向上させることができます。
h2:営業生産性向上のためにセールスイネーブルメントの実現が重要
セールスイネーブルメントは、営業社員の業務投下時間に対する成果や能力の向上を促進することです。ポイントは、「やるべきことの明確化」と「できることの最大化」です。実現するためには、以下の要素が必要となります。
ナレッジ:資料や動画など営業に必要なナレッジを届ける
ラーニング:ナレッジを活用した学習を進める
ワーク:営業プロセスとナレッジをつなげる
ピープル:営業スキルを定義し測る
4つの要素を取り入れたマネジメントを行うことで、営業社員のパフォーマンスアップにつながります。
h2:まとめ:営業ナレッジマネジメントはナレッジワークで
本記事では、営業ナレッジマネジメントの実践方法について詳しく解説しました。営業ナレッジマネジメントを行うことで、効率的な営業活動ができ営業部の生産性が向上します。そのため、ぜひ導入し、自社の営業活動を改善してみてください。
また、営業ナレッジマネジメントは、「ナレッジワーク」という一つのツールでスピーディに実現することが可能です。営業ノウハウをスムーズに発見でき、チャットツールやシングルサインオンなどのツールとも連携できるため使い勝手もよいです。
また専門のコンサルタントによる支援もあり、今では多数の大手企業の導入実績があります。営業ナレッジマネジメントを効率的に行いたい方は、3分でナレッジワークでできることがわかる資料をご用意しておりますので、一度確認してみてください。